現役編集者の書評ブログ

ビジネス書の編集をしています。読んだ本を不定期で紹介します。

書評

【書評】『会話もメールも 英語は3語で伝わります』(中山裕木子)

英語本、その厳しさとは…… 編集者は意外と(?)英語を必要としない仕事だ。 就活中に出会ったある女の子が、面接で「こんなにTOEICの点が高くて編集者になるのはもったいないよ」と言われたと戸惑っていたが、そんな忠告をしたくなるほど普段の仕事で英語を…

【書評】『生涯投資家』村上世彰

僕ら凡人の「天才叩き」 僕らはみな「天才」に厳しい。 地動説を唱えたガリレオ・ガリレイを断罪してからというもの、人類は何度も何度も同じ過ちを繰り返している。

【書評】『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎

なぜ、あの人は“夢中”になれるのか? 「すべてを捨てられるほど夢中になるものがある」という人がものすごく羨ましい。 夢中になれるかどうかなんて全部自分の問題で、他人を羨むなんてお門違いだとわかっている。 しかし、本で、テレビで、映画で、情熱に突…

【書評】『ルポ 電王戦 人間vs.コンピュータの真実』(松本博文)

「AI」と僕ら――変わること、変わらないこと 今日一番の話題と言えば、「藤井聡太四段の30連勝」をかけた対局だ。 20時現在、まだ勝負の決着はついていないが、藤井四段が勝っても負けても、明日の朝のニュースはこぞって取り上げるはずだ。

【書評】『新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか』福岡伸一

「わかりやすさ」だけでいい? ビジネス書を編集する上でよく言われるのが、「わかりやすさを最重視せよ」ということだ。 一文は短く、難解な言葉や表現は避ける、簡潔にまとめる……など、とにかく読者が読んですぐ理解できる文章が好ましいとされている。

【書評】『書いて稼ぐ技術』永江朗

出版界とフリーランス 「働き方改革」がいま盛んに叫ばれている。 会社に忠誠を尽くすような姿勢は時代遅れで、これからは個人の力を発揮できるような社会にしていく必要がある、という主張をそこかしこで聞くようになった。 その主張にもっとも沿った働き方…

【書評】『「言葉にできる」は武器になる』梅田悟司

編集者の「タイトル力」 ビジネス書編集者のもっとも重要な仕事は「タイトルをつける」ことだろう。 書店のビジネスコーナーには、特定の本を買いに来ている人だけではなく、なんとなく目についた本を買おうと考えて棚を見て回っている人も多い。 そんな人達…

【書評】『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』佐々涼子

「知らないこと」をなくすために 新社会人みたいで恥ずかしいけれど、いまだに毎日新しいことを何か1つは学んでいる。最初のうちは少しずつ成長できているように感じられて嬉しかったのだが、ここ最近は、「どれだけ僕はものを知らないんだろう」と思う気持…

【書評】『何者』朝井リョウ

「就活」の歪み ここ数カ月、真っ黒なリクルートスーツに身を包んだ就活生をよく街で見かける。 その姿を見ると、就活当時の自分の焦りやら不安やらが入り混じったなんとも形容しがたい 気持ちになる。

【書評】『ジブリの仲間たち』鈴木敏夫

本は作るもの? 売るもの? 「編集者は本を作る仕事」――多くの人がそう考えていると思う。 僕自身も入社前はそう思っていた。

【書評】『1998年の宇多田ヒカル』宇野維正

「特別な年」を超えるために 先日、2017年の本屋大賞が恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)に決定した。2回目の大賞受賞、直木賞とのダブル受賞など、史上初尽くしの結果で、14年の歴史がある本屋大賞の中でも記念碑的な年となったようだ。

【書評】『本屋になりたい: この島の本を売る』宇田智子

新刊と古本、出版社と古本屋 「出版社の人って、古本屋が嫌いなの?」と聞かれることがある。きっと、古本屋が本を安く売ることで、新刊が売れなくなってきているというイメージがあるのだろう。

【書評】『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』田中圭一

人生を変えた一冊、これから変えてくれる一冊 「人生を変えた一冊」というとどんな本を思い浮かべるだろうか。 僕の場合、読書の原体験になってくれた『車のいろは空のいろ』(ポプラ社)シリーズとか、読むたびに熱い気持ちを呼び起こしてくれた『キャプテ…

【書評】『ぼくには数字が風景に見える』ダニエル・タメット

自分だけのもの、他人と同じもの 昔から「他の人にはない自分だけの武器」にあこがれてきた。円周率をいくらでも覚えられる記憶力、人を感動させるものを書ける文章力など、この人はここがすごい! と周りから思われるようなものが欲しくてたまらなかった。

【書評】『たった5秒思考のムダを捨てるだけで、仕事の9割はうまくいく』鳥原隆志

本から伝わる「編集者の想い」 この仕事を始めてから本に対する見方がかなり変わった。 「編集者目線」なんて言うと偉そうに聞こえるかもしれないが、「一番読んでほしい項目だからキャッチ―な見出しをつけてるな」とか「説明中心のところだから飽きさせない…

【書評】『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』三上延

面白さって伝わらない…… 「本の面白さ」を伝えるのってほんとに難しい。 これまでにない、感動する、ラスト○ページの衝撃、今年一番の傑作…… どんなに言葉を尽くして説明しても、いやむしろ言葉を重ねれば重ねるほど、その本の一番愛おしい、伝えたい部分か…

【書評】『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治

新社会人がやるべきこと 仕事を始めて色々なものが減った。自由時間、友人、心の余裕……これ以上挙げていくと悲しくなりそうなのでこのくらいにしていくが、その中でも、最も大きな影響があるのが「睡眠」ではないだろうか。

【書評】『楽しく学べる「知財」入門』稲穂健市

出版界と「契約」 出版界は契約に関して割とアバウト……だったらしい。今は事前に印税交渉なども行ない、しっかりと契約を結んでいるが、昔は結構なあなあで、契約書を交わさないなんてこともあったようだ。

【書評】『本日は大安なり』辻村深月

65点の「ハッピーエンド」 ラストをはっきり描かない小説や映画が発表されると、必ず巻き起こるのが、「ハッピーエンド」「バッドエンド」論争だ。 主人子は家族と再会して幸せに暮らしたはず。いやいや、失意の中死んでいったに違いない……など、話は平行線…

【書評】『なぜアマゾンは1円で本が売れるのか 』武田徹

出版界のこれまで、これから もう何年続くんだよ……と思っている人も少なからずいるかもしれないが、出版業界が「過渡期」だといわれるようになって久しい。 電子書籍による「黒船来襲」から今まで続く、長い時代の移行期間だけれど、ここ最近、ほんとにいろ…

【書評】『限りなく透明に近いブルー』村上龍

小説に“飲み込まれる” いろんな人の小説の感想を見ていると「自分の知らない新しい世界に触れられた」といった表現によく出くわす。 確かに、自分とは全く違う世界をのぞき見ることができるのは小説の大きな醍醐味の一つだと思う。

【書評】『ようこそわが家へ』池井戸潤

「型にはまる」って意外と大事? 最近のビジネス書には「型にはまるな!」「没個性になるな!」とよく書かれている。これからは会社の歯車になるような人間に勝ち目はないから自分の強みを見つけて磨きなさい! という主張だ。

【書評】『個人的な体験』大江健三郎

表現の「自主規制」 「最近のテレビはつまらない!」といった声をよく聞く。 予算が厳しいとか、優秀な制作者が集まらないなど、いろいろな理由が指摘されているけれど、その中でも最もよく言われているのが、制作サイドの「自主規制が行き過ぎている」こと…

【書評】『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』井川意高

「ギャンブル」と「依存」 「ギャンブル依存症」という言葉を今年になってよく聞くようになった。カジノ法案が成立したことで、ギャンブルで身を滅ぼす人が増加してしまうのではないかとマスコミが盛んに騒ぎ立てているからだ。

【書評】『星間商事株式会社社史編纂室』三浦しをん

「時間」と「読書」 最近は本を読むのは、もっぱら通勤中の電車の中だ。 朝、外が少しずつ明るくなっていくのを感じながら読む1時間と、夜、仕事終わりでほっとしながら読む1時間が、僕の読書時間の中心となっている。

【書評】『たった一人の熱狂』見城徹

「焦燥」に支配されるとき あなたは「努力家」だろうか? ほとんどの人が、頑張りきれなかったときの苦い記憶を思い出し、この問いに対して「NO」と答えてしまうのではないか。

【書評】『いま世界の哲学者が考えていること』岡本裕一朗

僕らに見えているもの・いないもの 「海が大きく伸びをした」 これが何を意味しているかわかるだろうか?

【書評】『アンネの日記』アンネ・フランク

僕らは「最後の世代」 今は「時代の転換期」だと言われている。 「ポスト資本主義」だとか「人工知能」だとか、時代を変えるようなキーワードが連日マスコミで取り上げられ、僕らはその過渡期を生き抜こうと必死にもがいている。 そうやって時代が移り変わっ…

【書評】『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』サンキュータツオ

「ことば」と「世界」 「ことば」が「思考」に影響を与えている、という考え方をご存じだろうか。 私たちは普段「ことば」を情報伝達の道具として見なしがちだが、実はその「ことば」によって、人間の根幹部ともいえる「思考」が影響を受けているというので…

【書評】『ピンポン』松本大洋

うれすじは「エモーション」 最近よく売れている本の共通点の一つとして「感情的に訴えかけてくること」が挙げられると思う。 昔からそのような本の代表は小説と漫画だった。『君の名は。』(KADOKAWA)だって『宇宙兄弟』(講談社)だって、Amazonのレビュ…

【書評】『加害者家族』鈴木伸元

答えのない「対立」 仕事を始めてからすごく難しいと感じることがある。 それは「明確な答えが存在しない」ことだ。

【書評】『いまさら翼といわれても』米澤穂信

学生時代の「小さな痛み」 学生時代というのは、後悔を積み重ねる時期なのかもしれない。 トラウマなんていう大げさなものではないけれど、今でもふとしたきっかけで思い出して、小さな痛みを感じることがある。

【書評】『悟浄出立』万城目学

「主役」と「脇役」 「あなたの人生の主役はあなた自身だ」 相手を鼓舞させるための使い古されたフレーズだけれど、いまだに使い続けられているのは、自分が「脇役」的な人生を歩んでいると考えている人が多いからだろう。 どうして僕らはいつまで経っても「…

【書評】『夜を乗り越える』又吉直樹

なぜ、本を読むのか? 僕がこの問いに明確に答えられるようになったのは、就職活動がきっかけだったように思う。 当時は面接で話すネタ作りのために、書店に通ったり漫画喫茶に籠ったりして、本や漫画をたくさん読んでいたのだが、正直毎日がかなり辛かった。…

【書評】『熱狂宣言』小松成美

「熱さ」へのあこがれ 僕らの世代では「熱い」という形容詞はよくない意味で使われることの方が多い。 「○○くん、熱いよね」は、「ちょっと近寄りがたいよね……」というニュアンスを含んでいる。 「さとり世代」(死語?)なんて言葉でくくられることもある僕…

【書評】『99%の会社はいらない』堀江貴文

仕事は楽しいかね? この問いに自信を持って「はい!」と答えられる人がどれだけいるだろうか? 雑務や、書類作成、同僚との人間関係など、仕事の辛い側面が思い出されて、「うーん……」という微妙な反応になってしまう人が多いのではないだろうか。 それどこ…

【書評】『沈みゆく大国アメリカ』堤未果

想像力のなさ 忘れられない後悔がある。中学の頃からずっと仲の良かった友達がいた。高校も大学も別々だったけれど、事あるごとに彼の家に遊びに行って、ゲームをしたり、漫画を読んだり、くだらないことをして過ごしていた。俺ら一生友達だよな! なんて約…

【書評】『丘の上のバカ』高橋源一郎

日常への「無関心」 大学の友達と久しぶりに会うと、みんなの仕事の話を聞けて、すごく刺激になるし、勉強にもなる。 広告代理店の話も、マンション管理の話も、どれも今まで全然知らなかった社会の裏側のようなものが垣間見えて面白い。

【書評】『棋士の一分』橋本崇載

斜陽産業とその未来 「斜陽産業」とよく呼ばれる業界に身を置いている。 新聞でも、テレビでも、ネットニュースでも、ありとあらゆるところで出版不況が叫ばれるものだから、会社内でも「業界の未来は……」という話になるし、友達からもよく心配されている。

【書評】『性的人間』大江健三郎

自分を表す「自分以外」 中学生の時、所属している部活によって、明確なヒエラルキーがあった。 僕の所属していたテニス部は卓球部より上で、サッカー部より下だった。 このルールは基本的に絶対だったし、よほど目立っている人でないと、覆すことはできない…

【書評】『杏のふむふむ』杏

充実した毎日 あなたは充実した毎日を送れているだろうか。 編集者という仕事は、毎日同じことの繰り返しというわけではなく、新しい人に出会ったり、面白い体験をしたり、それなりに刺激的だと思う。

【書評】『最強の働き方』ムーギー・キム

僕の職場に足りないもの あなたの職場に足りないものは何だろうか? 休日、福利厚生、ボーナス……はたまた人間関係? 僕の職場に足りないものは、「気軽に相談できるちょっと年上の先輩」だ。

【書評】『Jポップで考える哲学』戸谷洋志

「青春ソング」 「青春ソング」と聞いて、思い浮かぶ曲は人それぞれだろうけれど、僕にとっての「青春ソング」は絶対的にBUMP OF CHICKENだ。 当時、中学生だった僕は、毎日のようにBUMPの曲を聞いていたし、カラオケに行けば、必ず歌っていた。(というか…