【読書メモ】『杏のふむふむ』杏
今週のお題「読書の秋」
秋は過ごしやすいとよく言われるけれど、近づいてくる冬の気配に少し寂しさも感じてしまいます。そんな寂しさを暖かく埋めてくれる秋にぴったりの一冊を紹介します。
『杏のふむふむ』
書名:杏のふむふむ
著者:杏
出版社:筑摩書房 (2015/1/10)
ISBN:9784480432360
【内容】
ラブラドールのハリーと過ごした小学校時代、歴女の第一歩を踏み出した中学時代、単身海外にモデル修業に行った頃、そして、女優として活動を始めたとき…。NHK連続テレビ小説のヒロインを演じ国民的な女優となった杏が、それまでの人生を、人との出会いをテーマに振り返って描いたエッセイ集。そのとき感じたことを次につなげて明日に向かう姿は、感動必至。(Amazon「内容紹介」より)
【感想】
女優、モデル、ミュージシャンなど幅広く活躍している杏さんのエッセイ集。彼女がこれまでに出会ってきた人たちとのエピソードが柔らかい文章で綴られている。
エッセイというのは書かれている内容だけではなくて、著者自身の人柄に触れられることが魅力だと思う。何気なく書かれた一文から、著者の性格を感じ取って、まるで目の前で話を聞いているかのような感覚を覚えることがある。
以前、漫画家の柴門ふみさんのエッセイ集を読んだとき、あとがきの「ネタにしたのは愛の裏打ちであることをどうか汲み取ってください」という一文がとても印象的だった。周りの人への感謝をこんな風に表現できるなんて、この人はすごく気遣いが上手な人なんだなと感じたことを覚えている。
本書でも、表現の端々から、杏さんの周りの人に対する気遣いや、目にしたものをどんどん吸収していく好奇心などが感じられて、とても温かい気持ちになれる。
タイトルの「杏のふむふむ」は、あるラジオ番組で「共演の方に失礼にならないような相槌を」と考えた杏さんが「ふむふむ」と答えていた、というエピソードが由来になっているそうだ。
こんな心をほっとさせてくれるエピソードがたくさん集められている。
毎日一話のペースで少しずつ読み進めていけば、きっと「秋の寂しさ」を埋めてくれる一冊になるはず。
【こんな人に】
・夜寝る前にほっと一息つきたい人
・心が温かくなるエッセイが読みたい人