現役編集者の書評ブログ

ビジネス書の編集をしています。読んだ本を不定期で紹介します。

【書評】『人間をお休みしてヤギになってみた結果』トーマス・トウェイツ

「凡人」には選べない道

大学生のとき、研究室の同期に現代版「太宰治」みたいなやつがいた。

親からの仕送りと奨学金をほとんど風俗通いにつぎ込み、学校の課題も同棲していた彼女にやってもらって何とか単位を稼いでいるというまさに❝詰んでいる❞状況だった。

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【書評】『夢を売る男』百田尚樹

自費出版」と「商業出版」

リアル鬼ごっこ』と『B型自分の説明書』。

どちらも数十万部売れた大ベストセラーだから、タイトルを覚えている人も多いだろう。実は、一見何の関係もなさそうなこの2冊にはある共通点がある。

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【書評】『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』山本一成

「その仕事、AIに奪われますよ!」

「AIに奪われる仕事」というキーワードが世間をにぎわしている。「あなたはこのままでは新しい時代を生き残れませんよ」という危機感を煽るような表現に、不安を感じている人も多いはずだ。

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【書評】『書店風雲録』田口久美子

「残念なニュース」に事欠かない出版界

出版業界がマスコミに取り上げられるとき、よいニュースであることはほとんどなく、業界の苦境を伝えるものが多い。人気少年漫画誌の印刷部数が200万部を割ったとか、三番手の取次が倒産したとか、残念なことに暗い話題には事欠かない。

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【書評】『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』若林正恭

 いまも競争がない国

前回の『寂しい生活』でも触れたが、僕らは人と比べ合うこと、競い合うことが生きていく上での原理原則になっている。もはや当たり前すぎてそれがない生活なんて考えられないくらいだ。

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【書評】『寂しい生活』稲垣えみ子

現代人の「競争疲れ」

なんか今週は疲れたな……と感じることがある。そう感じるのは単純に仕事が忙しいからだと思っていたのだけれど、最近になって、「競争」が原因なんじゃないかなと考えるようになった。

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【書評】『会話もメールも 英語は3語で伝わります』(中山裕木子)

英語本、その厳しさとは…… 

編集者は意外と(?)英語を必要としない仕事だ。

就活中に出会ったある女の子が、面接で「こんなにTOEICの点が高くて編集者になるのはもったいないよ」と言われたと戸惑っていたが、そんな忠告をしたくなるほど普段の仕事で英語を使う機会がないということだろう。

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