現役編集者の書評ブログ

ビジネス書の編集をしています。読んだ本を不定期で紹介します。

【書評】『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』若林正恭

 いまも競争がない国

前回の『寂しい生活』でも触れたが、僕らは人と比べ合うこと、競い合うことが生きていく上での原理原則になっている。もはや当たり前すぎてそれがない生活なんて考えられないくらいだ。

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【書評】『寂しい生活』稲垣えみ子

現代人の「競争疲れ」

なんか今週は疲れたな……と感じることがある。そう感じるのは単純に仕事が忙しいからだと思っていたのだけれど、最近になって、「競争」が原因なんじゃないかなと考えるようになった。

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【書評】『会話もメールも 英語は3語で伝わります』(中山裕木子)

英語本、その厳しさとは…… 

編集者は意外と(?)英語を必要としない仕事だ。

就活中に出会ったある女の子が、面接で「こんなにTOEICの点が高くて編集者になるのはもったいないよ」と言われたと戸惑っていたが、そんな忠告をしたくなるほど普段の仕事で英語を使う機会がないということだろう。

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数字で見る「100万部突破!」のすごさ

「100万部突破!」

出版社も、取次も、書店も、出版界のみんなまとめて幸せになる言葉だ。

100万部の本を作った編集者は伝説の存在になれるし、刊行した出版社もミリオンセラーを出した会社として認知されるようになる。

2015年、文藝春秋から刊行され、ダブルミリオンを達成した『火花』(又吉直樹)がどれほどの社会現象になったかを覚えている人も多いだろう。

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【書評】『生涯投資家』村上世彰

僕ら凡人の「天才叩き」

僕らはみな「天才」に厳しい。

地動説を唱えたガリレオ・ガリレイを断罪してからというもの、人類は何度も何度も同じ過ちを繰り返している。

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【書評】『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎

なぜ、あの人は“夢中”になれるのか?

「すべてを捨てられるほど夢中になるものがある」という人がものすごく羨ましい。

夢中になれるかどうかなんて全部自分の問題で、他人を羨むなんてお門違いだとわかっている。

しかし、本で、テレビで、映画で、情熱に突き動かされるようにどんどん行動している人を見ると、どうしても羨望の気持ちが沸き起こってくるし、自分との差を感じて胸の中で小さな痛みのようなものを感じる。

 

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【書評】『ルポ 電王戦 人間vs.コンピュータの真実』(松本博文)

「AI」と僕ら――変わること、変わらないこと

今日一番の話題と言えば、「藤井聡太四段の30連勝」をかけた対局だ。

20時現在、まだ勝負の決着はついていないが、藤井四段が勝っても負けても、明日の朝のニュースはこぞって取り上げるはずだ。

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