現役編集者の書評ブログ

ビジネス書の編集をしています。読んだ本を不定期で紹介します。

【書評】『ぼくには数字が風景に見える』ダニエル・タメット

 自分だけのもの、他人と同じもの

昔から「他の人にはない自分だけの武器」にあこがれてきた。円周率をいくらでも覚えられる記憶力、人を感動させるものを書ける文章力など、この人はここがすごい! と周りから思われるようなものが欲しくてたまらなかった。

続きを読む

【書評】『たった5秒思考のムダを捨てるだけで、仕事の9割はうまくいく』鳥原隆志

本から伝わる「編集者の想い」

この仕事を始めてから本に対する見方がかなり変わった。

「編集者目線」なんて言うと偉そうに聞こえるかもしれないが、「一番読んでほしい項目だからキャッチ―な見出しをつけてるな」とか「説明中心のところだから飽きさせないようにイラストを入れているな」とか、編集者の意図のようなものに気づけるようになった。

続きを読む

【書評】『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』三上延

面白さって伝わらない……

「本の面白さ」を伝えるのってほんとに難しい。

これまでにない、感動する、ラスト○ページの衝撃、今年一番の傑作……

どんなに言葉を尽くして説明しても、いやむしろ言葉を重ねれば重ねるほど、その本の一番愛おしい、伝えたい部分から遠ざかっていくような感覚を覚えてしまう。

続きを読む

【書評】『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治

新社会人がやるべきこと

仕事を始めて色々なものが減った。自由時間、友人、心の余裕……これ以上挙げていくと悲しくなりそうなのでこのくらいにしていくが、その中でも、最も大きな影響があるのが「睡眠」ではないだろうか。

続きを読む

【書評】『楽しく学べる「知財」入門』稲穂健市

出版界と「契約」

出版界は契約に関して割とアバウト……だったらしい。今は事前に印税交渉なども行ない、しっかりと契約を結んでいるが、昔は結構なあなあで、契約書を交わさないなんてこともあったようだ。

続きを読む

【書評】『本日は大安なり』辻村深月

65点の「ハッピーエンド」

ラストをはっきり描かない小説や映画が発表されると、必ず巻き起こるのが、「ハッピーエンド」「バッドエンド」論争だ。

主人子は家族と再会して幸せに暮らしたはず。いやいや、失意の中死んでいったに違いない……など、話は平行線のまま、また新たな作品の論争へと移っていく。

続きを読む

【書評】『なぜアマゾンは1円で本が売れるのか 』武田徹

 出版界のこれまで、これから

もう何年続くんだよ……と思っている人も少なからずいるかもしれないが、出版業界が「過渡期」だといわれるようになって久しい。

電子書籍による「黒船来襲」から今まで続く、長い時代の移行期間だけれど、ここ最近、ほんとにいろんなことが変わり始めている。

続きを読む