現役編集者の書評ブログ

ビジネス書の編集をしています。読んだ本を不定期で紹介します。

数字で見る「100万部突破!」のすごさ

「100万部突破!」

出版社も、取次も、書店も、出版界のみんなまとめて幸せになる言葉だ。

100万部の本を作った編集者は伝説の存在になれるし、刊行した出版社もミリオンセラーを出した会社として認知されるようになる。

2015年、文藝春秋から刊行され、ダブルミリオンを達成した『火花』(又吉直樹)がどれほどの社会現象になったかを覚えている人も多いだろう。

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【書評】『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎

なぜ、あの人は“夢中”になれるのか?

「すべてを捨てられるほど夢中になるものがある」という人がものすごく羨ましい。

夢中になれるかどうかなんて全部自分の問題で、他人を羨むなんてお門違いだとわかっている。

しかし、本で、テレビで、映画で、情熱に突き動かされるようにどんどん行動している人を見ると、どうしても羨望の気持ちが沸き起こってくるし、自分との差を感じて胸の中で小さな痛みのようなものを感じる。

 

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【書評】『ルポ 電王戦 人間vs.コンピュータの真実』(松本博文)

「AI」と僕ら――変わること、変わらないこと

今日一番の話題と言えば、「藤井聡太四段の30連勝」をかけた対局だ。

20時現在、まだ勝負の決着はついていないが、藤井四段が勝っても負けても、明日の朝のニュースはこぞって取り上げるはずだ。

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【書評】『新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか』福岡伸一

「わかりやすさ」だけでいい?

ビジネス書を編集する上でよく言われるのが、「わかりやすさを最重視せよ」ということだ。

一文は短く、難解な言葉や表現は避ける、簡潔にまとめる……など、とにかく読者が読んですぐ理解できる文章が好ましいとされている。

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【書評】『書いて稼ぐ技術』永江朗

出版界とフリーランス

 「働き方改革」がいま盛んに叫ばれている。

会社に忠誠を尽くすような姿勢は時代遅れで、これからは個人の力を発揮できるような社会にしていく必要がある、という主張をそこかしこで聞くようになった。

その主張にもっとも沿った働き方をしているのが、フリーランスの人達だろう。

会社、組織に属さず、自分一人の力で生き抜いていく様子は、会社員の僕からしてみたらとてもかっこよく映る。

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【書評】『「言葉にできる」は武器になる』梅田悟司

編集者の「タイトル力」

ビジネス書編集者のもっとも重要な仕事は「タイトルをつける」ことだろう。

書店のビジネスコーナーには、特定の本を買いに来ている人だけではなく、なんとなく目についた本を買おうと考えて棚を見て回っている人も多い。

そんな人達にどうやって自分の作った本を買ってもらうか。

その答えの1つが「思わず手に取ってしまうようなタイトルをつける」ことだ。

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