「あっこの本読んだことある!」がなくなるたった一つのコツ
「リメイク本」が引き起こす悲劇
いきつけの書店でいつもの新刊チェック。「これだ!」と思った本を手に取りレジへ。どんな内容かとわくわくしながら家に帰り、本を開くと・・・・・・
「この本読んだことある!!」
本好きなら一度はやったことのある失敗だろう。
この失敗に「一度読んだ本のことを覚えてないなんて、読んだ意味あるの?」と冷たい反応を投げかける人もいるかもしれない。
たしかに読んだことを忘れていたのなら、それは買った本人のせいだろう。
ただし、書店にはタイトルもカバーも違うのに内容だけは以前に刊行されたものと同じという本が並ぶことがある。
それは「既刊本をリメイクした本」だ。
カバーもタイトルも大きく違う
出版社は、元の本の内容をほとんどまたはまったく変えずに、タイトル・カバーを変えて新しい本として売り出すことがある。多くの場合は「単行本の文庫化」の際に行なわれ、新たな読者層の発掘などを目的としている。
ちょっとうちの本棚を探ってみるだけでも、
『飲水思源』(金曜日)→『メディアの怪人徳間康快』(講談社)
『ブラッドライン』(新潮社)→『螺鈿の手術室』(新潮社)
『もう教祖しかない!』(双葉社)→『リーマン、教祖に挑む』(双葉社)
など、何冊も見つかる。たとえば、『もう教祖しかない!』と『リーマン、教祖に挑む』のカバーを並べてみると、かなり印象が違う。これを一目で同じ内容だと見極めるのは難しいだろう。
答えは「ことわり書き」にあり
ただ、誤解しないでほしいのは、出版社は何も読者をだまそうとして新しいタイトルやカバーにしているわけではないということだ。元の本のときには手に取ってくれなかった読者に買ってもらいたいという思いからやっていることであって、一度読んだ読者にもう一度買わせようなんて考えていない。
その証拠に、リメイクした本には必ず「元の本があること」を明記している。
本を買う前に、その部分をチェックすること。
それがこの記事で伝えたい「あっこの本読んだことある!」がなくなるたった一つのコツだ。リメイク本であることが表記されている部分を「ことわり書き」という。
それはほとんどの場合、本文の最終ページに記載されている。
たとえば、『螺鈿の手術室』には次のような「ことわり書き」がある。
この作品は平成二十五年七月新潮社より『ブラッドライン』として刊行された。文庫化に際し改題の上、大幅な改稿を行った。
「元の本のタイトルと刊行日」と「変更箇所」がコンパクトにまとめられている。出版社によって表現に若干の違いはあるものの、基本的には同じような情報が載せられている。
この「ことわり書き」をチェックする習慣をつければ、読んだことのある本を買うことは減るはずだ。
出版社の立場からすると、Amazonの感想に「読んだことのある本のタイトル違いでした。お金を無駄にしました」などと書いてあると、なんとも言えない気持ちになる。
一人でも多くの人が「ことわり書きチェック」によって、「この本読んだことある問題」から抜け出していただければ、とてもうれしい。