【読書メモ】『ダイオウイカは知らないでしょう』西加奈子・せきしろ
『ダイオウイカは知らないでしょう』
書名:ダイオウイカは知らないでしょう
出版社:文藝春秋 (2015/2/6)
ISBN:9784167903060
【内容】
気鋭の作家二人が短歌に挑戦!
第152回直木賞を受賞した小説家・西加奈子と文筆家のせきしろが、常識はずれの短歌道に挑戦! 個性的なゲスト達にお題を出してもらい、そのお題にちなんだ歌を詠んだ記録。
登場するゲストは穂村弘・東直子・俵万智・いとうせいこう・星野源・山崎ナオコーラ・華恵・光浦靖子・ミムラ・ともさかりえ・山里亮太(南海キャンディーズ)・山口隆・勝山康晴・入山法子といった、短歌・作家・お笑い・ミュージシャン・俳優として活躍する、様々なジャンルの個性豊かな14人。
登場する短歌はこんなふう。
「わたくしあなたを卒業します」はは、入学させた覚えはないぜ (西加奈子)
こうやってキミの頭を撫でている この手は二回不法投棄した (せきしろ)
溢れる想像力と妄想・物語を心のおもむくまま、三十一文字にグッと込めました。思わず自分も一首詠みたくなる、まったく楽しい短歌本。
注)イカの本ではありません
(Amazon「内容紹介」より)
【感想】
文庫化された『サラバ!』を読んでいたら、突然再読したくなったので手に取ってみた。小説家西加奈子さんと文筆家のせきしろさんが、様々なゲストを迎え「短歌」に挑戦する過程をまとめた一冊。雑誌『anan』で連載されていた企画の書籍化。
西さんは小説家らしいストーリー性のある歌を、せきしろさんは自ら歩んできた風変わりな人生を象徴するような自由な発想の歌を詠む。
短歌はネタバレに直結してしまうので引用は控えるが、Amazonの内容紹介の中で挙げられている歌からも、二人の「個性」を感じ取ってもらえると思う。
ゲストを交え、詠んだ歌についてあれこれ印象を話し合っていくのだが、西さんの関西弁とせきしろさんのおっとりした語り口のせいだろうか、まるでそばでやり取りを聞いているかのような感覚を楽しめる。
本書の一見意味の分からないタイトルは、最後のゲスト穂村弘さんが出した「ダイオウイカ」というテーマに対して、西さんが詠んだ歌の一部。
1年以上に及ぶ挑戦の集大成として二人が詠んだ歌はどんなものだったのか。それは実際に本書を読んで確かめてほしい。ちなみに僕は西さんが詠んだ「ダイオウイカ」の歌が、すべての歌の中でダントツに好きだった。
短歌が好きな人はもちろん、まったく知らない人でも2人のやりとりを楽しみながら一緒に学んでいけるので、「短歌初心者」の人にぜひおすすめしたい。
【こんな人に】
・「短歌初心者」の人
・ゆるい対談本を読みたい人