【書評】『99%の会社はいらない』堀江貴文
仕事は楽しいかね?
この問いに自信を持って「はい!」と答えられる人がどれだけいるだろうか?
雑務や、書類作成、同僚との人間関係など、仕事の辛い側面が思い出されて、「うーん……」という微妙な反応になってしまう人が多いのではないだろうか。
それどころか「生活のために仕方なく働いています!」なんて答える人もいるかもしれない。
僕自身はありがたいことにいまのところ毎日楽しく仕事をできている。
もちろんめんどくさい仕事や億劫に感じることもあるけれど、それでも、本を作るという作業は基本的にとても楽しいことだと思う。
こういう風に感じられているのは、とても幸せなことだが、中には、 「仕事は楽しい」よりもさらに上を行く感覚で働いている人がいる。
それは「楽しいことを仕事にしている人」だ。
小さいころからずっと好きだったことがいつの間にか仕事になっていたり、趣味としてどはまりしたことを仕事に変えていったり、そういう「好きなこと」や「楽しいこと」をそのまま仕事にしてしまっている人がいる。
彼らはプライベートと仕事の境目があいまいで、というか全てがプライベートのようなものなので、とてつもない行動力があるし、周りを巻き込んでいく力がものすごい。
僕が会ったことのある著者の中に、何人かこういう人がいた。
やっぱり、本を出せるくらい熱意をもって取り組み、結果を出している人は、「働く」よりも「楽しむ」が先に来ているのだろう。
これはなかなかできることではないし、会社勤めのサラリーマンでは難しいことかもしれない。実際、そういった働き方に憧れを抱きながらも、思い切った選択ができずに毎日を過ごしている人がほとんどだと思う。
『99%の会社はいらない』
書名: 99%の会社はいらない
著者:堀江貴文
出版社: ベストセラーズ (2016/7/9)
ISBN:9784584125250
誰もが知っているホリエモンこと堀江貴文氏による「働き方」に関するエッセイ。
日本人の働き方、組織の在り方に疑問を呈し、他人の時間ではなく自分の時間を生きるよう呼びかけている。
本書で一貫して述べられているのは、これからは「遊びが仕事になる」時代がやってくる、ということである。
著者が主張しているのは、
テクノロジーの大幅な変化に社会が追いつかなくなっている
↓
僕らがファーストペンギンとして、社会を変えていくことが必要になる
↓
誰よりも早く動ける人はその分野に深い理解がある人である
↓
自分が深く熱中している「遊び」「趣味」の先に、新しいビジネスが見つかる
といったことだ。この主張がタイトルの「99%の会社はいらない」につながっていく。
著者の主張は絶対的に正しい。会社勤めをしている自分にとって読んでいて耳が痛くなる内容ばかりだったから。ただ、これを読んだ人のほとんどは結局行動に移せないことも著者にはわかっているのだろう。
……なんだか全てを見透かされているようでとても悔しい気持ちになってくる。
著者を見返す意味でも、今の自分の働き方になんとなく疑問を感じている人は、この本を読んで、どんどんファーストペンギンとなってどんどん新しい海に飛び込んでほしい。