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現役編集者の書評ブログ

ビジネス書の編集をしています。読んだ本を不定期で紹介します。

【書評】『Jポップで考える哲学』戸谷洋志

 

「青春ソング」

「青春ソング」と聞いて、思い浮かぶ曲は人それぞれだろうけれど、僕にとっての「青春ソング」は絶対的にBUMP OF CHICKENだ。

当時、中学生だった僕は、毎日のようにBUMPの曲を聞いていたし、カラオケに行けば、必ず歌っていた。(というか、今も歌うけれど)

 

 

 

青春時代、あれだけBUMPに傾倒していたのは、みんなが聞いていたから、という中高生特有の流され意識もあっただろうが、歌詞になんとなくこのバンドの「哲学」のようなものを感じていたからだと思う。

 

常に歌詞を意識して聞いていたわけではなかったけれど、ふいに耳に強く入ってくる一節や、カラオケなどで目にした歌詞から、「不安で臆病な気持ちから自縄自縛している自分」や「過去の痛みの積み重ねから今がある」など、自分とは何か、時間とは何か、という彼らなりの考えを受け取っていた。

 

 

もし、あのときの僕がもう少しその歌詞の意味を深く突き詰めて考えていたなら、もっと違う進路や職業を目指していたかもしれない。

そして、「J-pop」×「哲学」というテーマの本を出版したのは、僕だったかもしれない。

 

 

『Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲』

書名:Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲 

著者:戸谷洋志

出版社:講談社 (2016/9/15)

ISBN: 9784062934893

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本書は学生による出版コンペティション「出版甲子園」の企画を原案としたもので、著者の戸谷洋志さんは、大阪大学の博士課程で哲学を学んでいる現役の大学院生。

BUMP OF CHICKENの『天体観測』や、東京事変の『閃光少女』、RADWIMPSの『おしゃかしゃま』などのJポップの歌詞から哲学の諸問題を考えていく、というのがテーマになっている。

 

まず、今挙げた3曲などJポップをよく聞く人にはぜひ読んでほしい。

本の中にも、歌詞は紹介されているため、その曲を知らない人でも、読み進めることはできるが、実際によく聞いていてなじみのある曲だからこそ、哲学的な考察も親しみをもって、受け入れることができるはず。

 

「自分とは何か」「時間とは何か」などの難しい問いも「Jポップ」を切り口にすると、一気に自分の身の周りの問題に感じられるから不思議だ。

天体観測』の歌詞から「記憶の想起」について考察するなんて、若手の哲学者にしかできないとても面白い試みだと思う。

 

著者が最後に述べていた「哲学は身近なところにある」ということに、僕はひどく納得したし、この本を読んだ大多数の人が共感できると思う。

「最もわかりやすい哲学入門書」として、10代、20代の人にぜひおすすめしたい本だ。