現役編集者の書評ブログ

ビジネス書の編集をしています。読んだ本を不定期で紹介します。

【書評】『1998年の宇多田ヒカル』宇野維正

「特別な年」を超えるために

先日、2017年の本屋大賞恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)に決定した。2回目の大賞受賞、直木賞とのダブル受賞など、史上初尽くしの結果で、14年の歴史がある本屋大賞の中でも記念碑的な年となったようだ。

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【書評】『本屋になりたい: この島の本を売る』宇田智子

新刊と古本、出版社と古本屋

「出版社の人って、古本屋が嫌いなの?」と聞かれることがある。きっと、古本屋が本を安く売ることで、新刊が売れなくなってきているというイメージがあるのだろう。

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【書評】『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』田中圭一

人生を変えた一冊、これから変えてくれる一冊

「人生を変えた一冊」というとどんな本を思い浮かべるだろうか。

僕の場合、読書の原体験になってくれた『車のいろは空のいろ』ポプラ社)シリーズとか、読むたびに熱い気持ちを呼び起こしてくれた『キャプテン』集英社)とか、たくさん挙げられそうだけれど、もし一冊だけということであれば『データはウソをつく』筑摩書房)を選ぶだろう。

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【書評】『ぼくには数字が風景に見える』ダニエル・タメット

 自分だけのもの、他人と同じもの

昔から「他の人にはない自分だけの武器」にあこがれてきた。円周率をいくらでも覚えられる記憶力、人を感動させるものを書ける文章力など、この人はここがすごい! と周りから思われるようなものが欲しくてたまらなかった。

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【書評】『たった5秒思考のムダを捨てるだけで、仕事の9割はうまくいく』鳥原隆志

本から伝わる「編集者の想い」

この仕事を始めてから本に対する見方がかなり変わった。

「編集者目線」なんて言うと偉そうに聞こえるかもしれないが、「一番読んでほしい項目だからキャッチ―な見出しをつけてるな」とか「説明中心のところだから飽きさせないようにイラストを入れているな」とか、編集者の意図のようなものに気づけるようになった。

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