現役編集者の書評ブログ

ビジネス書の編集をしています。読んだ本を不定期で紹介します。

【書評】『熱狂宣言』小松成美

「熱さ」へのあこがれ

僕らの世代では「熱い」という形容詞はよくない意味で使われることの方が多い。

「○○くん、熱いよね」は、「ちょっと近寄りがたいよね……」というニュアンスを含んでいる。

「さとり世代」(死語?)なんて言葉でくくられることもある僕らは、自分や周りにあまり期待しすぎないこと、頑張り過ぎないこと、とにかくどこか冷めた感じであることが、同年代のコミュニティでうまくやっていく条件なのだと思う。

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【書評】『99%の会社はいらない』堀江貴文

仕事は楽しいかね?

この問いに自信を持って「はい!」と答えられる人がどれだけいるだろうか?

雑務や、書類作成、同僚との人間関係など、仕事の辛い側面が思い出されて、「うーん……」という微妙な反応になってしまう人が多いのではないだろうか。

それどころか「生活のために仕方なく働いています!」なんて答える人もいるかもしれない。

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【書評】『沈みゆく大国アメリカ』堤未果

想像力のなさ

忘れられない後悔がある。


中学の頃からずっと仲の良かった友達がいた。高校も大学も別々だったけれど、事あるごとに彼の家に遊びに行って、ゲームをしたり、漫画を読んだり、くだらないことをして過ごしていた。

俺ら一生友達だよな! なんて約束を交わしたわけではなかったけれど、これからずっとこの距離感で付き合っていけるだろうと思っていた。

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【書評】『丘の上のバカ』高橋源一郎

日常への「無関心」

大学の友達と久しぶりに会うと、みんなの仕事の話を聞けて、すごく刺激になるし、勉強にもなる。

広告代理店の話も、マンション管理の話も、どれも今まで全然知らなかった社会の裏側のようなものが垣間見えて面白い。

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【書評】『棋士の一分』橋本崇載

斜陽産業とその未来

「斜陽産業」とよく呼ばれる業界に身を置いている。

新聞でも、テレビでも、ネットニュースでも、ありとあらゆるところで出版不況が叫ばれるものだから、会社内でも「業界の未来は……」という話になるし、友達からもよく心配されている。

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【書評】『性的人間』大江健三郎

自分を表す「自分以外」

中学生の時、所属している部活によって、明確なヒエラルキーがあった。

僕の所属していたテニス部は卓球部より上で、サッカー部より下だった。

このルールは基本的に絶対だったし、よほど目立っている人でないと、覆すことはできないものだった。

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【書評】『杏のふむふむ』杏

 

充実した毎日

あなたは充実した毎日を送れているだろうか。

編集者という仕事は、毎日同じことの繰り返しというわけではなく、新しい人に出会ったり、面白い体験をしたり、それなりに刺激的だと思う。

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